雲取山頂から奥多摩への下山

2006.8.30

 山小屋の朝は早い。4時を過ぎると外でガヤガヤと人の話し声が聞こえてきて張り切った筋肉の痛みを抑えながらも念願のご来光を見なくては!と起き出す。外は思ったより寒くなく宿泊客は皆で眼前に昇り始めたご来光にくぎ付けとなった。天気も良く最高の瞬間を拝むことが出来た・・・。

雲取山山頂
   

朝食を済ませて、いよいよ約1時間の山頂を目指して行動を開始する。澄み切った雲取山の冷気に包まれて、いよいよ青空に山頂が見え始め,周りには木々は無く360度の展望が開けた場所が標高2017mの雲取山頂である。
40年前には確かもっと直ぐ目の前に富士山が迫っていたような記憶があるのだが、今回は遠くに見えた気がしたのは年を取ったからであろうか?・・・。
期待が裏切られた感じがしたが、ともかく、40年の歳月を経て又再びこの山頂に立つことが出来た喜びは何とも筆舌に尽くし難いものがある。

  富士山をバックに記念撮影をしたりしての感動の儀式を済ませた“俄か山男4人”は奥多摩を目指して山梨県の鴨沢バス停までダラダラと下る一方の登山ではなく、今度は“下山”の厳しさ、恐ろしさが待ち受けていたのであった。
確かに、三峰コースはアップダウンはあるものの景色は大変素晴らしい。一方、この奥多摩コースは最初のうちだけ富士山が奇麗に見えるのだが、後はほとんどが沢伝いの山道を膝をガクガクさせながらの下り一辺倒である。登山は下りより登りの方が楽だという定説があるらしいが、楽そうな下りを選んだのは自分だったので、只ひたすら仲間の後を追っかけて行くのであった・・・。

 1日目はゆっくりと景色を見る余裕があったのだが、今日は鴨沢発11:45分のバスに間に合うよ!という雲取山荘の親父さんのひと言が祟り、このコースを一度も経験していない4人の素人がその言葉を信じて、今どの辺に居るのか?も分からずに自信を持って下っていた。もし、その時間に間に合わないと、次のバスは2時間後だというので、ほんとに必死になって“山下り”に挑戦をしたのである。下界が近づくにつれ暑さも厳しくなり、奥多摩湖の上流の水面が見え始めた頃には、『バス亭はどこだ!もうすぐか!』と声を掛け合いながら膝はガクガク、登山靴で走り降りるような騒ぎであったが、こんな田舎バスとは言え無情にも山手線と同じように“定刻”で走り去っていたのであった。
4人の山男がどれほど落胆したことか、読者の皆様も想像に余りあると思われます。

  田舎のバスに裏切られ、凄い暑さの中をトボトボと歩いて一軒の蕎麦屋を見つけた一行は、 砂漠のオアシスに水を見つけたかのように、店にあるビールを全て飲み干すような勢いで憂さ晴らしの乾杯をする。 蕎麦屋の若女将の気遣いの良さと優しさにも救われ、本当に無茶苦茶な山下りの反省をしながらも冷たいビールを何杯も飲み干し、自分達の足をさすったり揉んだりして奥多摩の2時間の宴会を楽しんだのであった。

  奥多摩駅から青梅駅まで電車で行き、タクシーで飯能へ。そして、西武特急レッドアローで秩父へ凱旋したのだが、この登山行を知ってる人達は皆、『まさか三峰山に車を置いていった彼らが、西武線のレッドアローで帰るとは思わなかったよ!?』と、いつまでも笑いつがれる人生の思い出のひとこまが又生まれた55歳の夏となったのである・・・。

ご来光
雲取山山頂
富士山と二人
下山の半分
奥多摩の蕎麦屋