アニメとなった『天の園』

2005.531

都幾川沿いに広がるのどかな田圃風景は今でも現代人の心をノスタルジックな気持ちにさせてくれるが、その狭い一角にあった埼玉県比企郡唐子村を舞台にした打木村治の小説『天の園』がついにアニメーション映画となり全国に向けて東松山より発信されることとなった。
5月22日の日曜日の夕方、東松山文化センターは政治の選挙演説会を思わせる程の人だかりで熱気に溢れていた・・・。

 
天の園の映画化には“かつら”役を高橋恵子でと、早くから夢み、又、熱望していた『比企青春の会』稲原会長から“是非見て欲しい!”というお誘いを受けて“評論家諸氏”と夜の部に出かけたのであった。

真っ先に驚いたのは児童小説だけあって子供連れのご家族が多く、上映委員会代表の高島氏をはじめとする委員の皆様方の各方面への宣伝努力が実った結果であることが直ぐに感じられた。

打木村治の生誕100年を記念し、大作”天の園”“大地の園”全10巻を3部作にまとめた第一部『雲の学校』というタイトルで「フランダースの犬」を手がけたアニメ界の巨匠<黒田昌郎監督>が美しいアニメ映画に仕立てたものであり、明治の終わりから大正にかけての東松山の唐子村の自然が素晴らしい原色の鮮やかさで懐かしく感動的に描かれていたので、比企の町おこしに関わる一人として大変嬉しく見させてもらった。
 
最近の自分は小説などはほとんど読まずに、テレビのニュース番組主体の生活を送っているので、久しぶりに見るアニメ映画に最初は戸惑いを感じたものの、ほんとに美しい映像を見ているうちに引き込まれて行き、主人公“保”の父の死と母親“かつら”が生活の糧に質屋に行くシーンなどには生来の純情気質も手伝い、隣に座っていた某造り酒屋の奥方にわからないように涙をそっと拭くような始末であった・・・。

登場人物がほとんど着物姿なので、果たして現代の子供達にどこまで現実味を持って理解してもらえるものか?という一抹の不安はあるが、根底に流れているものは、美しい唐子の自然の中で、貧しさに負けず明るく逞しく成長していく主人公の姿を通して、人間のほんとうの大切さと豊かさとは何か?ということをもう一度考え直すのにはほんとうに良いきっかけになる教育文化的効果の高い作品であると信じるものであります。

稲原さんをはじめとする上映委員会の皆様方のご尽力に対して心より敬意を表すると共にわがまち東松山の唐子地区が新しい観光スポットとして全国に知れ渡る機会が出来ることに大きな拍手を送るものであります・・・。