小泉純一郎の横須賀を巡る

2009.18

日経新聞のコラムニスト田勢康弘氏の政治評論は非常に含蓄があるので私はこの人の書くコラムはいつも興味深く読んでいる。
小泉首相による郵政解散の直後、“大勝負に出た小泉「信長」”、“大宰相か、変人どまりか”という見出しのコラムはまさに言い当てていて結果はその通りになったので、私はその読みの深さに感心をした次第であった・・・。

 
おそらく後世の歴史に於いて、ひどいやり方をして同志を切り捨ててしまったと恨み辛みの批判を受けながらも、大勝利をおさめて新しい時代を確実に切り開いたのは確かであるので、『大宰相』の一人と云われるのは間違いないだろうと思われる。

さて、その選挙戦の最終日と翌日の投票日にかけて60年前に横須賀の海軍基地で軍艦に乗り、太平洋戦争に従軍した父(85歳)とそれを遠くから支えた母(86歳)のために親孝行をしてやろうということになり、一泊二日の横須賀・三浦半島旅行が急きょ実現した。
一日目は懐かしき田浦駅周辺を訪ねて昔の面影を追ったが、60年の歳月がほとんどを消し去ってはいたが、横須賀駅と横須賀独特の谷津と海だけは往時を偲ばせているようであった。
港に停泊させてある日露戦争当時の軍艦“みかさ”は数回訪れているらしいが海軍時代を思い出し、何となく軍艦のことを熟知しているからか自信に溢れて若い者に船のことを説明してくれる父を見ていると若さを取り戻しているようにも見えるのであった。
横須賀と云えば海軍、海上自衛隊、米軍基地そして空母や原子力潜水艦と全てが戦争に結びつくが異国情緒溢れる港町としてノスタルジックでもあり、私は横浜とはまた変わった魅力を感じていた。そして不思議なことに従兄弟の奥さんが田浦の出身であることも今回の旅行に繋がっている。

すぐ前が磯に面した城ヶ島のホテルで久しぶりに両親と親戚で海の幸を堪能した翌日、私は根っからの自民党員である父のために横須賀市三春町の小泉首相宅を訪問し、小泉邸で警備に当たる人相の良い神奈川県警の警察官に訳を話して記念撮影をさせてもらったのであった。ちょうど衆議院選挙の投票日に話題の総理大臣の私邸を訪れることが出来たのは一番の記念になったのである。
20年間、政治にも携わった経験のある父にしてみれば、先の見えている人生の晩年の思い出旅行で、衆議院選挙の最中に日本中を騒然とさせた総理大臣の私邸を訪れることになろうとは想像さえ出来なかったであろう・・・。
横須賀という独特な土地柄にある小泉純一郎の生まれた家をまのあたりにして、この異能な政治家の一端に触れられたような気がした。それは何なのかうまく表現できないが、少なくとも自分の中に小泉純一郎と田勢康弘という類い希なる人物が入り込んだのは間違いないのである・・・。